備後の滝12  備後の知られざる滝3
 ・ 乙女滝
 ・ 牛曳滝
 ・ 油木の大滝・門平の滝
 ・ 志もの滝・スズメ滝
 ・ 夫婦滝
 ・ 愛宕の滝
 ・ 大古瀬の滝
 ・ 犬返りの滝
 ・ 魚切
 ・ 瀑泉
 ・ 白糸の滝

今回は本当にほとんど世間に知られていない備後の滝。
皆さんご存知の滝がいくつあるだろうか





乙女滝 

乙女滝は庄原市比和町森脇にある。

吾妻山の休暇村のロッジから谷を降りたところにある滝で、実は国土地理院の地図にも滝マークがついている。
国土地理院の地図を見ると、県道225号線石ケ原地区からロッジまで登山道が付いている用に書いてあり、ロッジ脇から下っていくのが近いと思われるが、実際に行ってみるとあまりに道がクマザサに覆われていてピンクテープが一部に残るのみ。谷沿いの足元が見えない道となるので危険なのでオススメできない。

しかし現実的には距離は長いものの、石ケ原から滝まで川沿いに道が付いているので、それを上るのが安全。
片道1時間前後で到着する。
渡渉箇所もあるが、長靴じゃなくても防水加工したトレッキングシューズで大丈夫。
行った時は釣りをしている人に途中で出会った。

滝は落差10m弱。

 
 






牛曳滝

牛曳滝は庄原市西条町油木。県民の森の入口から800mほど手前、
五の原にある牛曳山登山道を入口から30分程度進んだところにある滝だ。

滝の落差は8m程度、右側に脇滝がある。
滝そのものは水量も少なくてたいしたことは無いようだが、良かったのはこの登山道。
白樺の気持ち良い林を抜けて行き、そして滝からさらに牛曳山に向かって進むと
ミヤマヨメナが咲き誇る「ミヤマヨメナロード」と呼ばれる美しいルートだ。
この滝へ行くなら5月末から6月前半までの間、序に牛曳山→毛無山まで行くことをお勧めしたい。
毛無山からは360度の風景が望め、眺めは最高だ。


  







油木の大滝 

油木の大滝は今回新発見の滝。庄原市西条町油木にある。落差約15mの二条の滝だ。

この滝、実は芸備諸村瀑布図という安芸藩の資料に「油木村の滝」と記載があり、
探すにあたり「竜王山の北東山嶺から流れ出し、門平にて合流する川の中流にある」
とあるのが唯一の情報だった。
ところが門平という地名をNETで調べても全く出てこない。
わずかに「門平たたら場跡」というのが昔油木にあったということがわかったのみだった。

こんな時は現地へ行って突撃調査するのみ。
しかし、現地に行ってみてもなかなか門平という場所がわからない。
いろいろ苦労の末、木次線の油木駅の前に住んでおられる95歳の長老のところに行きついた。
「門平(かどひら)という場所をさがしているんですが、門に平と書く」
「そりゃ門平(もんびら)じゃ、場所は・・・・・」 
場所自体は想像していた場所と一致していた。しかしなんと門平は「もんびら」と読むらしい
「古い史料に油木村の滝というのがあるんですが、ご存知でしょうか?」
「滝があるとか聞いたことがないで・・・」
地元の人もわからない滝となると、特定する頼りになるのは芸備諸村瀑布図の絵のみだった。
とにかく国土地理院の地図を参考に、川を遡って滝を探して歩くのみ

ところが実際に川をさかのぼってみると、最初は荒れた廃林道(たたら跡まで続く)があるのだが、
途中からは道らしきものは全くなく遡行となる。枝沢も多く方向を決めるのが難しい。
竜王山の北東の谷から流れ出る川といっても、どの谷筋かがはっきりわからない。
探索途中では熊の糞も落ちていて、周囲に気を配らないといけないという問題もある。

1日目は滝はひとつ見つけたものの芸備諸村瀑布図の滝の形と異なるので、そこで断念。
そして2度目の探索で、やっと絵と同じ形の滝を見つけることが出来た。

結局滝までは歩き始めてから真直ぐ行けば1時間前後。
GPSを必ず持参し、熊よけの鳴り物も持って行ってほしい。
遡行とはなるが、トレッキングシューズでもまず大丈夫。


  油木の大滝

写真は滝の水が落ちていないようだが、本流は左側に隠れていて、これを見るには膝まで水に入って進まないといけない。
また、本来の二条の右側の流れは流木で遮られて落ちていないのだが、この後に枝沢さんが訪れて撤去され
現在は二条の滝に戻っているとのことだ。

 尚1日目に見つけた滝は2段で落差約20m。
こちらの方が油木の大滝よりも立派だったので、仮に「門平の滝」と名付けることにした。

  門平の滝







志もの滝

志もの滝も今回初発見。庄原市東城町粟田にある落差10m程度の滝。

こちらも油木の大滝と同じく芸備諸村瀑布図に記載があって場所がわからない滝だ。
ヒントは森脇という地名と絵だけ
現地に行ってみると、北区自治公民館の前に「粟田北区案内図」という看板があって、
そこにスズメ滝という記載があった。
もしやそれが志もの滝のことかと近くの民家の方に聞いてみて行ってみたが、どうも史料の絵とは違う。
絵の志もの滝は別沢から川に直接落ちてきていて、そしてその手前には田んぼがある。
スズメ滝は県道脇にあって現在水がほとんど落ちておらず、滝とも言えない滝だった。
状況が明らかに異なる。
(このスズメ滝の北側にもう少し水が流れている谷があってそこには砂防ダムがあるが、そちらはスズメ滝ではなく、こちらのネットがかかっている方がスズメ滝(の残骸)だ。)

  スズメ滝

しかしその民家のおじさん曰く、「そこにある滝、名前はないけど、写真を撮りに来る人がおるよ」とのこと
早速その滝に行ってみると、まさに芸備諸村瀑布図に書かれている絵の通りの滝だった。

  
                    志もの滝







夫婦滝

夫婦滝は庄原市東城町竹森。二つの川の出合いに落ちている滝で落差は10m程度。
左右にある二つの滝がセットになっている。
道路上には「東城町史跡景観百選、夫婦滝」という看板が立っているにもかかわらず
藪に覆われていて滝は全く見えない。
やむを得ず向かって左手の滝をロープを使って直接降りた。

 







愛宕の滝

庄原市東城町川東。東城の千手寺から焚火山へ向かう登山道沿いにある。
徒歩30分程度。「東城観光特選、愛宕の滝」と書いた看板が千手寺にあった。
落差は5m程度。水はわずか。
道の途中に石仏がたくさんある

 







大古瀬の滝(おおこぜのたき)

3段で落差25m。神石高原町小野
東城町からR182を南に向かい神石高原町に入ってすぐのところにある大古瀬橋を渡って
小野方面に向かった途中にある。
元々は道路から滝まで降りられるように遊歩道が付いていたような形跡があるが、
現在は崩れていて滝前に行くにはロープが必要となる。
滝は上段が一番高くて、そこにはちゃんとした滝壺もある。

 

尚、この滝の上流側と下流側に各1本、約10mの滝が落ちていて、いずれも道路から見下ろすことが出来るが、
どうやら名前は付いていないようだ。







犬返りの滝

神石高原町有木
魚切の滝の下流800mにある滝で二段で落差20m。
水量があって見ごたえのある滝だ。

魚切の滝から下流側は魚切り渓谷とも呼ばれているが、
魚切の滝と犬返りの滝の落ち口まで間はずっとなだらかな渓谷が続いている。
犬返りの滝落ち口まではこの川の中もしくは川の脇をジャブジャブ進んでいく。

そして、滝の上から滝壺まで降りる際にはロープによる15m程度の懸垂降下が必要となるので、
この滝へ行く際は予めちゃんとした装備が必要。
水質がもう一つなのが欠点。

上段
 

  下段







魚切

世羅町伊尾
県道56号線。山田川沿いの幅広の滝。落差は5m程度。
道路脇に落ちているが、車を停めるところがないのが難点。道が狭いので、すれ違いに気を遣う。
滝前には道路から斜面を降りて10m程度のヤブコギがあるが、それに見合う眺めだと思う。

 三の滝
 



※ 2020年、久しぶりに訪れてみると、上記の滝に「三の滝」という看板が設置されていた。ヤブコギはなくなり滝前にも行きやすくなっている。さらに上流に進むと「二の滝」「一の滝」と小滝に名前が付いている。車を停める際は一の滝あたりの道路がやや広いので、そこに停めて歩く方が良いかもしれない。

一の滝
 

 二の滝
 







瀑泉

尾道市木之庄町市原
芸藩通史という安芸藩の史書に名前が記載されていることから探した滝。
滝山中腹に落ちている滝で、残念ながら上流部に堰堤が出来ているせいか、現在はあまり水が落ちていない。
滝に近づくのはなかなか困難で、踏み跡を進んだのちに左岸側からロープを使って降りる必要がある
無理せずに谷の対岸から遠望するのが良いと思う。

 

 
  写真中央に見えている







白糸の滝

三原市糸崎町
糸崎神社の脇の小川を遡ったところにあって、この滝が糸崎の名前の由来になったとも言われている。
三原バイパスのほぼ真下という位置。
普段水量が少なく、岩肌を濡らす程度なので、雨後に見に行かれた方が良いと思う。

 






    
 

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