妙高の温泉と滝  (2015.11.14)


これまで訪れた日本の滝、約1500本。
滝の撮影では日本国中いろいろなところに行ってきた。
その中には滝と温泉の両方を楽しめる場所がいくつかあるのだが
その中でも妙高はこれまで自分が経験した中で不動のトップ

半径約4kmの範囲に素晴らしい滝と温泉が所狭しと数多くあるのである
滝と温泉のコラボ日本一
さらに、山も風光明媚で美味しい食べ物も
ここにだけは長居したいといつも思ってしまう。

というわけで、その妙高高原を滝好き温泉好きの為にご紹介したいと思う







まずは温泉の魅力から


1.赤倉温泉

妙高高原で一番大きな温泉地は「赤倉温泉
妙高山(2454m)の渦を巻いたような外輪山の東麓。標高約750mの高原にある。
多くの旅館が立ち並び、楽天トラベルで選べる宿だけでも35軒あまり。賑やかな温泉街をなしている。
ここは江戸時代からの藩湯で多くの著名人も訪れており、日帰り温泉や「滝の湯」という共同露天風呂や足湯などもあり、冬はスキーでも賑わう妙高を代表する温泉だ。
湯量が豊富でほとんどが源泉かけ流し
源泉を北地獄谷とするお湯は無色透明
泉質は「カルシウム・ナトリウム・マグネシウム−硫酸塩・炭酸水素塩泉」というたくさんの成分の入ったもの。
効能は「切り傷・やけど・慢性皮膚病・美肌効果・動脈硬化症」

尚、赤倉温泉のさらに麓には「新赤倉温泉」もある



2.関温泉

赤倉温泉から北西に約2km。
妙高山に向かって登って行った標高約900mのところに上杉謙信の隠れ湯と言われる「関温泉」がある。
楽天トラベルの登録宿は5軒。
この温泉は「100%源泉かけ流し宣言」をしていて、加温も加水もしていない。
お湯の色は鉄分が含まれているせいか赤茶色で、泉質は「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉」
効能は「神経痛・関節痛・慢性消火器病・慢性婦人病・虚弱児童・慢性皮膚病など」となっている
またここの温泉の南側谷底に不動滝が落ちている



3.燕温泉

関温泉からさらに西に1km。妙高山登山道の入り口でもあり標高1100mの地点にあるのが「燕温泉
ここから惣滝まではあとわずか
こちらの温泉も謙信の隠れ湯と言われていて楽天トラベル登録の宿は4軒。
お湯の色は乳白色で時にはライムグリーンの色にも見える。
湯花がとても多くて、硫黄の香りが他の妙高の温泉よりもやや強い。
泉質は「ナトリウム・カルシウム・炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物温泉」
効能は「リュウマチ・神経痛・創傷・婦人病・筋肉痛・運動麻痺・慢性消化器病・冷え症・疲労回復・病気回復期など」
となっている
尚、燕温泉から惣滝に向かっていくと、燕温泉組合が管理している「秘湯」といわれる野天湯が二つあり

ひとつが「黄金の湯」(男女別)、一つが「河原の湯」(混浴)でいずれも無料。脱衣所などはついていて、泉質は燕温泉のものだ。



4.池の平温泉

赤倉温泉から南に約2km。妙高山東麓にある水芭蕉が群生する観光地「いもり池」のそばに「池の平温泉」はある。
この辺りから眺める妙高山はとってもきれいだ。
 

楽天トラベル登録の宿は14軒。ただここはペンションなどが多くあり、温泉地というよりはむしろリゾート地という趣が強い。
苗名滝ではここの池の平温泉にあるビジターセンターに長期宿泊されているヨーロッパから来たという大学教授にもお会いした。毎朝周辺を散策されるのだそうだ。
温泉は妙高山の南地獄谷からひいているが、源泉は黒泥交じりの単純硫黄泉。これを浄化して透明なお湯になる。
効能は「皮膚病、婦人病、神経痛、リウマチ、切り傷など」
ただこれを源泉のまま日帰り入浴できるところもあって、そこのお湯は当然だがやや黒い



つまり近くにある4か所の温泉で、「透明」「赤」「白」「黒」の4種の色の泉種違いの温泉に入ることができるのだ
これって凄いことじゃないかな







一方滝の方について

まず妙高高原の中にある有名な滝としては
日本の滝百選に選ばれた
・苗名滝 落差55mの直瀑
・惣滝  落差80mの直瀑
の二本
そして光明滝・称名滝の連瀑 落差80mというのがある

これらの滝は冬季は雪に閉ざされるわけだが、そのおかげで春5月6月は雪解け水で大水量の濠瀑になる
また秋は壮大な紅葉に覆われとても美しい。
さらには妙高の滝はいずれの滝も東向きなので、早朝には虹をかけて人の目を楽しませるのだ





1.惣滝へ

 

惣滝へのスタート地点は燕温泉になる。
時期としては5月GWが行けるかどうかの境目。GWに行くならは予め地元に確認しておいた方が良い
燕温泉の駐車場に車を止めてから惣滝の滝下まで行くには、危険を承知で約30分歩く必要があるが、
まず歩くのが嫌で安全に遠望でもいいという人は「黄金の湯」方面に登って行って横を通り過ぎ、さらに登るとせいぜい10分ほどで滝見台に着く
ただ結構急なので、帰りに黄金の湯で汗を流したらちょうどいいかもしれない。男湯と女湯は別で脱衣所もあるので安心。
   
ただこの野天湯は有名なだけに人が多い

一方、滝の近くまで行きたいなら遊歩道が狭いので滑らないようなそれなりの格好が必要。
まずは燕温泉から川沿いの道を進む
  

途中対岸にそうめん滝
  

やがて鉄製のつり橋「妙仙橋」に出合う
ここまでフラットな道約10分。

橋を渡ってその下を回り込むようにして左に進むと「河原の湯
  
こちらも男女別の脱衣所だけど湯船は一つ。
  
ただお湯は白くて湯花も多いので、一旦中に入ってしまえば女性もあまり恥ずかしくないかもしれない。
ここは岩の隙間からお湯が沸いてきていて川沿いということもあってとっても爽快
  
  
おすすめの野天湯だ
くる人も比較的少ないのが良い

さて、惣滝へ行くには吊り橋の先のガレ場(崩落跡)のジグザグの登りを進むことになる
その後T字路になって惣滝方面は右、左は妙高山への登山道だ。標高は1170m
  
少し進むと道はだんだん狭くなる
右は谷底。そこに権現滝が落ちている。
  

左の岩壁には温泉の析出が至る所にあって、緑の苔がついている
  

左側に鎖があってそれにつかまって進むところもある

注意してみると権現滝の上側で川に降りられるところがあって、鎖がおりている
それにつかまって川へでるとそこには有志が作ったという惣滝の湯(下)
  
  
  

このお湯はワイルドだ。解放感抜群で最高に気持ち良い。
1回目に惣滝に訪れた時は、ここのお湯にカップルが入っていて、結局遠慮して帰った。
女性はドラム缶みたいなタオルで器用に着替えて、まるでべに子さんみたいに上手だった。
そのあと偶然そのカップルとまた会って話をしたら、「なんで入ってこられなかったんですか」と女性の方に言われた
温泉研究サークルの人のようだった。

惣滝下の湯に入らず、そのまま遊歩道を進むと、惣滝が見え始め、やがて遊歩道は行き止まりになる。
  

川へ降りるための鎖がここにもあるが、1回目に訪れた時は雪が多く残っていて川自体が雪のトンネルの様でそこで挫折した。
普通の人はまぁここまでで引き返すのだろうが、滝好きは満足できない
2回目の際は鎖を伝って川に降り、そこからは川を遡行することにした。
そこからは水量しだいだけど、水に入らずに滝下まで行けることもあるだろうし、長靴が必要なとき、水量が多ければ長靴でも浸水するときがあるかもしれない。
濡れる覚悟だけは必要だ。
遡行していると惣滝の全貌が見えてくる。
  
滝下まで行くと、水飛沫の直撃を感じることができる
写真も撮れないほど
  
最高の気分ではあるが、お昼以降は日が差さないので時期によってはとても寒く感じる
ここまで来るときは出来るだけ早い時間がおすすめだ。虹も見られるだろう。


そして左側の岩肌を注意すると温泉の析出があり、小さな湯船が作られているところがある。これが惣滝の湯(上)
  
  

自分が行ったときはあまりにこれが浅かったので中には入らなかった。

二回目に行ったこの日は帰りに惣滝(下)の湯に入って解放感ワイルド感を満喫して帰った。
ここの湯船を作られた有志の人には感謝感謝
これまで行った中で最高の野天湯だった





2.称名滝へ

 


光明滝・称名滝へ行くルートのスタート地点はこちらも燕温泉
燕温泉から黄金の湯の脇を通り、惣滝展望台へは行かずに南の道に入り、
北地獄谷に沿って斜面のトラバース道をずっと歩く。この道も妙高山への登山道だ。
道幅は人がすれ違えるほどあるが、もしも間違って踏み外したら谷底に向かって100mの滑落なので緊張しながら歩くことになる。

そんな道を1時間半ほど歩いたところで小さな小屋が見えてきた。
  
その小屋は赤倉温泉の源泉の管理小屋。
十数か所の源泉をそこの一ヶ所に集めてきていて、凄い湯量となって数十軒の温泉に送っているのだ。
  
そして、その小屋の奥にはそこで働く人が作った野天湯がある。
「野天湯へGo!」という番組でその野天湯にべにこさんが入っていたのを見たことがあったので、そこに湯船があることは予め知っていた。「小屋場の湯」という名で紹介されていた。
  
そしてこの時はたまたまそこに管理をする人がいたので、ここに入ってもいいですかと聞いてみたら、快く承諾してくれた。
このお湯は無色透明。当然赤倉温泉と同じ。下流にある河原の湯が乳白色なのに、上流に歩いてきたらこうなるなんて不思議な感じがする。
しかしそこのお湯は45度以上と思われとっても熱かったので川の水を入れて冷まそうとしたけど、結構な大きさの湯船なんで難しそう。結局茹だる前に早々にお湯から上がった。

この源泉管理小屋からさらに道を進むと、すぐに落差40mの光明滝が見え、その上に落差50mの称名滝が見えている。
  

そのまま登山道を進み、光明滝の落ち口を過ぎたあたりで登山道から離れて川を渡り上側にある称名滝の滝下に出た。
  
称名滝は滝の岩肌が温泉によって茶色くなっていることプラス岩肌から温泉の析出があるのが面白い。
そして称名滝の滝壺の一部はその析出によって水が温くなっている
  
本当は滝下から20mほど下流に「滝の湯」という野天湯があり(上の写真の右側)、べにこさんもそこに入っていたのだけど、岩の崩落で残念ながらこの野天湯はこの時壊れていた。

仕方ないので滝壺へ行く。滝壺の右側の暖かい部分は温泉の析出がある一部のみ。深さは15cm程度。
  
  

それでもどうしても称名滝の湯に入りたいので適当に裸になってお尻だけ浸かってみた。
入ると堆積した土の影響でお湯が一気に濁る。

周りからは冷たい水飛沫。下からは暖かい温泉。見上げると50m上から水が絶えず落下。
これは何とも言えない感触で感激!
  
しかしさすがに寒かったので、1分ほどで入浴は終了。
凄い経験をした。





3.苗名滝へ

  
苗名滝へ行くには、まず池の平温泉から車で約10分で広い駐車場。
そこから徒歩約15分で苗名滝の前のつり橋に到着する。
  
そこが滝の展望地なのだが、滝までの距離はまだ200m程度ある。
しかし、この滝のある関川の水量はいつも多く、特に雪解けの季節は水飛沫が遠くまで飛んでくる。
  
GWに訪れた際、その水飛沫によって朝の7時半過ぎにとても大きな虹が現れた。
日本でも有数な大きな虹の出る滝と言って良いと思う。
  

  
季節によって虹の出る時間は若干異なるが、この滝へ行くのであれば早朝が一番おすすめだ
尚、滝壺に近づくには左岸(向かって右側)を岩を乗り越えながら進めば可能だが、危険が伴うのでお勧めはしない。
ただ滝壺は水飛沫によってあっという間にびしょびしょになるほどで、撮影もままならない。
その分爽快感はたっぷり味わうことが出来る。

またこの滝、秋には素晴らしい紅葉を見ることができる




妙高高原の滝と温泉、いかがだろうか





    
 

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