"双門大滝"への道 2007−3

6.不安

結局、熊渡から双門大滝まで5時間半かかったわけだが、疲れはさほどでもない。
ゆっくり進んだのが良かったのか、二人ともそんな感じに見えた。
追い抜いていったパーティーの人たちが一足先にここに到着し休憩をしている。
彼等はそのまま登って狼平から弥山に向かうらしい。
元の道を引き返すのは危険だからそのまま進んだ方がいいという話を再度されていた。
この話、警察に言われ、民宿のおかみさんに言われ、これで同じ話を聞くのが3度目、たけちゃんも滝の思い出さんも同じ道を引き返すのに不安を持ってるようだ。
特に大岩越えを逆に降りるのを不安に感じているらしい。
しかしこのまま狼平に進み尾根沿いに西に下りるというのは元来た道よりも距離が大幅に長い上に予め調べても無いので道に迷うかもしれないというリスクがついてくる。
いざという時泊まる装備さえ持っていない。
これまでここに来たまことちゃん・takimiさん等と違うルートをわざわざ進むというのも逆に不安である。
登った時と同じ体勢で降りればそんなに危険は無いはず。
というわけで朝通って来た道をそのまま引き返すことに決めた。
「気をつけて来た道を降りましょう」
先に到着したパーティーが狼平に出発し、双門テラスは3人での独占状態。
双門大滝をカメラに収められる位置は限られていて撮影は一人ずつ順々ではあるが、他の人たちがいるわけでもないので、ゆっくり時間をかけて思う存分写真を撮ってから昼食をとった。
デザートにとおかみさんが持たせてくれたゆで卵とバナナが妙に美味しかった。



7.復路

12:30 
双門テラスを出発。
約2時間の休息をとったことになる
登った時と同じ姿勢・3点支持を守ることを再確認。

下りの梯子は各自のリズムで皆調子よく降りていく。
僕は三段降りては手を持ち代えてまた3段降りるというリズム。
絶景の鎖場をクリアしbP9水平梯子で小休止。タバコが美味しい
長い梯子の連続を下り三の滝上まで降りた時、たけちゃんが「そろそろ休憩しましょう」と声をかけた。
先頭でどんどん降りていたので休憩を忘れていた。いいタイミング。なかなか気が利く。
というわけで木の幹に座って休憩。
2本目の酸素水(500ml)を飲み干す。
そしたら下からおばさん2名を含む5人のグループが登ってきた。
小屋で一泊するらしく皆重そうな荷物を背負っている。10kg以上はあるのではないだろうか
いやいや負けてはおられない(^^;

再び出発する。
岩潜りのところで道をロストしそうになった。あぶないあぶない・・・

13:35 一の滝
再びゆっくり撮影。
撮影を終えてさて降りようかというとき、たけちゃんのリュックが岩場を転げて数m落ちて止まった。
傾いた岩の上に下ろしていたリュックに誤って触れたせいだ。
危なく谷底へリュックが落ちるところ、もし落ちてももちろん取りに行くことはできない。

さてここから釜滝までが問題の危険地帯だ。
程なく大岩越えまで降りてきた。気を引き締める。
僕が先に越えて足場の指示だけするが、何のことは無い、二人ともほとんど危なげなくどんどん岩を越えてきた。
午後になって岩が乾いてきているのが大きく、滑らないので安心感がある。
川の水も少し引いてきているようだ。

標柱のところの渡渉も朝苦労したのが嘘のように岩飛びでらくらくクリア。
朝ゆっくり出発していれば楽ができたに違いない。

右岸に渡り、赤テープを頼りにそのまま歩いてきたら橋崩落現場に直接出てしまった。
ウーン・・・・ここはどう考えても朝は通っていない。道を間違えたか・・・・
そこで周りを見回すと上の方に赤テープが見えた。
どうも上に巻道があるようだ。
目の前の斜面が直接登れそうだったので、道は無かったが強引に直接登って巻き道に出た。
二人もついてくる。申し訳ないことをした。
沢トラバースはさすがに緊張したが、慎重にクリア。
これでもう危険箇所は無い。安心。

15:35 釜滝到着
岩に座って休憩&ゆっくり撮影する。やはり川の水は10cm近く引いている。
とはいえ、普段の釜滝の姿よりはよほど立派な滝姿。
こういう姿の釜滝の写真が撮れるのは珍しいかも知れない。

チョコを食べ、3本目の酸素水を飲み干した。
もう少し暑くなると1.5Lの水では絶対に不足だと思う。

白川八丁の渡渉はルンルン気分。岩飛びで全部ラクラククリア。

林道下まで到着。ここで白川八丁ともお別れ。
最後の休憩。タバコが美味い。
朝置いてきた杖もそこにあったので持って帰る。

最後の30分強の林道の歩きは結構辛かった。
単調な下りで足が痛くなってきた気がする。
考えてみると今回の道のりで一番辛いのは30本の梯子でも鎖場でも巻き道でもなく、この林道の往復のような気がする。

17:00 熊渡到着
車まで帰ってきた。
朝5時に出て帰ってきたのが夕方5時だから、結局12時間かかったことになる。
もしこれが秋で今回と同じ調子で歩いてたとしたら日が暮れてしまうことに・・・
ただし帰りは4時間半を要したわけだが、撮影時間を除くと4時間はかかっていないと思う。
水量の違いと岩が濡れているいないで1時間は十分違っているだろう。

また結果論ではあるけれど、双門大滝から普通に引き返して良かったと正直思った。
リュックを下ろしトレッキングシューズを脱いて深呼吸。

双門ルート、ほんとよかったなぁ・・・・
達成感でいっぱいになった。

さて宿のおかみさんに報告しないとね・・・



8.祝杯

17:30 大谷屋
おかみさんに無事帰還の報告
よく話を聞くと、このルートでは毎年一人くらいの死者が出ているらしい。
去年の事故は双門大滝からの下りで道に迷って無理をして滑落したのだそうだ。
やっぱりそうだったんだと納得する。

部屋に入ってCW−Xを脱いで風呂へ行く準備。
薬湯「みずはの湯」の露天風呂がいいとNETに書いてあったので、さっそくみんなでそこに行くことにした。
みずはの湯は川を目の前にしての露天風呂。眺めも良くて気分も良い。
山のあとは温泉で脚をしっかり揉むのが一番疲労回復に良い。御来光のときもそれで翌日全然平気だった。
今日は腕にも僅かな違和感があるので腕もしっかり揉んだ。知らず知らずのうちに腕にも力が入っていたのだろう。

宿に帰って味噌鍋を食べながら祝杯を挙げる。
「かんぱ〜〜い!」
ビールが美味い!!
お互いの健闘を称えあい、道中の話でいくらでも盛り上がる。

そんなときおかみさんがこのあいだ双門に続けて2度行った人がいるという話をした。
あら、ひょっとしてまことちゃんもここに泊まったのかな?
「その人の車はひょっとして○○の○○でした?」
「ええ・・・」
「じゃあ風貌は××××・・・な感じ?」
「・・・・・」
それ以上は教えてくれない、さすがにお客さんの話だもんね^^;
でも、きっとまことちゃんに違いないな
双門に続けて何度も行く人は世の中広しといえどそうそういないだろう。
とにかく数日のうちに悪路の七ツ釜滝へ2度続け、双門へも2度続けて行くのだから仙人級であることは間違いない
滝の思い出さんも僕がまことちゃんの教えを受けてるということで一緒に付いてくる気になったという。
(ほんまかいな^^;)
どっちにしても写真家の丹地敏明氏とまことちゃんは我が街福山の誇りです・・・・ってか?^^;


5月27日

今日は以前からの計画通り笹の滝へ向かう予定。
おかげで身体はどこも痛くない。
CW−Xがよかったのか温泉で身体を揉んだのが良かったのか・・・

出発間際におかみさんが天川の名水をPETボトルに入れて持たせてくれた。
最後までいろいろ気を使っていただき感謝。お世話になりました。
次に天川に来るときはまた必ずここに寄らせてもらおうと3人で話をした。

8:00 出発。
今日は天河神社は「おんだ祭(お田植え神事)」
一日中賑やかにちがいない
滝へ向かう前にまず天河弁財天でお守りを買っておこう・・・・



9.Photo−2

笹の滝



    
 

inserted by FC2 system